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流麻二果「色の足処」

2018年11月22日 - 2018年12月22日
色の跡:和田三造「南風」, 2019

 ユカ・ツルノ・ギャラリーは流麻二果の個展『色の足処 / The Colors Have Gone Through』を2018年11︎月22日(木)から12月22日(土)まで開催いたします。国内のギャラリーでの約3年ぶりとなる本展では、伝統的な油彩絵画で表現されてきた色彩を探求して色を重ねた絵画作品や、建築やダンス表現とのコラボレーションによって培われてきたキャンバスから拡大した空間として経験される絵画表現など、新作を含む、より多様で幅広く展開されている作品群を発表いたします。

 “色彩”の作家と呼ばれる流麻二果の多彩な絵画は、鮮やかでありながら淡い色彩を持ち、透明感と陰影が重なり合う特有の質感を生み出してきています。初期作品では絵画表現だけでなく編物や衣服など拡張していくメディウムを使用しながら、日常のなかですれ違う他人や風景への興味から作品制作が進められていました。近年の作品は、自然や風景に内在する光や生のエネルギーが生み出す多様性へと興味が変容していくなかで、より抽象度を高めた独自の色彩表現へと発展してきています。同時に、東日本大震災をきっかけにしたアーティストによる子ども向けのワークショップ『一時画伯』やコンテンポラリーダンサーとのコラボレーション『踊る絵画プロジェクト』など現代美術作家としての活動の幅を広げ、また建築空間でのアートワークと色彩監修を務めるなど垣根を越えた多面的な制作を進めてきました。

今年2018年、流は印象派コレクションで知られているポーラ美術館での個展をきっかけに、油絵による光の色彩表現と再び向き合い始めます。伝統的な絵画における色彩を丁寧に追体験しながら、新たな解釈と再構成として色を何層にも塗り重ねた深みのある色彩の絵画は、新シリーズ『色の跡』として同美術館で発表されました。印象派の足跡をたどることからはじまり、本展ではさらに、西洋絵画の光を捉えようとした日本近代絵画における色彩、特に和田三造の『南風』(1907年)に注目をしています。和田は画家としてだけでなく、日本文化における色彩の標準化の必要性にかられ日本標準色協会(後に日本色彩研究所に改名)を設立し、デザインや工芸を含む、日本の色彩研究に尽力した人物です。奇しくも、同じく画家として色彩に向き合う流は和田の血縁にあたります。新作では、西洋絵画の影響を受けながらも和田によって規定された日本の伝統色と呼ばれるものがいかに日本文化のなかに内在しているのかが「色の足跡(あと)」として探求されます。

 また現在、流は株式会社中川ケミカル 色彩研究室との共同webプロジェクト『日本の色』を進めており、日本の色彩をいかに表現していくのかということと多角的に向き合っています。世界中で色の均一化が加速し、個性が見えづらくなった現代においても、特定の土壌や気候でしか見えない色があり、色を捉える感覚には個性があります。また、「日本の色」というと、平安時代の十二単衣や江戸時代の流行色など、いわゆる「伝統色」として捉えられがちですが、本プロジェクトはインタビューやリサーチ活動を通して日本における色彩の個性を調査し、現代の「日本の色」を探求するプロジェクトです。本展覧会に合わせて、『日本の色』のウェブサイトも今秋にローンチされました。 http://nihon-no-iro.jp

作家プロフィール

1975 年生まれ。女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒。2002年文化庁新進芸術家在外研修員(アメリカ)、2004 年ポーラ美術振興財団在外研修員(アメリカ・トルコ)。主な展覧会に『VOCA 展』(上野の森美術館、東京、2000 年・2006 年)、『DOMANI・明日展』(国立新美術館、東京、2010 年)、『絵画を抱きしめて』(資生堂ギャラリー、東京、2015 年)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05『見えてる風景/見えない風景』」(高松市美術館 、2016 年)、『Wraparound』(Miyako Yoshinaga Gallery、ニューヨーク、2016 年)、『色を追う/ Tracing the Colors』(ポーラ美術館、箱根、2018年)など。子どもたちにアートを届ける非営利団体「一時画伯」発起人。

開催概要

流麻二果「色の足処 / The Colors Have Gone Through」
会期:2018年11月22日 – 12月22日
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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