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炭田紗季「枯れない花」

2018年3月3日 - 2018年4月7日
玄関のカスミソウ, 2017

 ユカ・ツルノ・ギャラリーは炭田紗季の個展『枯れない花』を2018年3月3日(土)から 4月7日(土)まで開催いたします。約2年ぶりとなる本展では、災害や戦争、事故などの出来事と自身との距離感を日常の光景を通して描いた新作を発表します。

 炭田はこれまで、日本の文化や風景を、ファッション広告、記念写真、観光地の宣材、神話などのモチーフと合成し、絵画上に再構築することで複数の文化が混ざり合った異質なイメージを作り出してきました。それは“文化のオリジナル”という考え方に問いを投げると同時に、80年代に生まれた作家自身が眺める、様々な文化が混ざり合った場所としての日本の文化的風景でもあります。

 約2年ぶりとなる本展では、炭田に特徴的なシニカルな印象を画面上に残しつつ、ニュースから流れてくる災害や戦争、事故などのアクシデントと自身との距離感を日常の断片的な光景を通して描いた新作を発表します。出産と子育てのために長時間を自宅で過ごすようになった炭田は、以前のように情報に囲まれた日常ではなく、情報が欠けることによって外部世界に対する距離感が変化したと話します。それは、戦争や災害に始まり、いじめや虐待、犯罪、病気といった個人的に人生を左右されるような劇的な出来事に出会うことなく平穏に過ぎていく自身の日常をより意識させ、同時に、戦争を知らない世代として非常に恵まれた環境に身を置いているということを自覚することになりました。

 無自覚に危機感を鈍らせていく“平和ボケ”と揶揄されるような状況下で、頭のすみではもしかしたら自身にも災難が起こって平穏な日常が脅かされるもしれないと考えながらも、自分にはそんなことは決して起こるはずがないと誰しもが願望のように信じているように、炭田はその距離感の中に生まれる心情を「枯れない花」と形容しています。新作の絵画において、外部世界で実際に起きている出来事との距離感は、日常に潜む破綻をうかがわせるような作家の日常の断片の組み合わせとして現れてきています。

作家プロフィール

1985年岡山県生まれ、2010年尾道大学大学院美術研究科修了。現在京都府在住。主な個展に「庭の鉢植えは波をかぶらない」(2016年、吹上美術館、岡山)、「Fuji」(2015年、トーキョーワンダーサイト渋谷、東京)、グループ展に「I氏賞選考作品展」(2016年 天神山文化プラザ、岡山)、「VOCA 2014」(2014年 上野の森美術館、東京)「今日を過ごす方法」(2014年 高松市塩江美術館)「ワンダーウォール 2013」(2013年 東京都現代美術館、東京)など。

開催概要

炭田紗季「枯れない花」
会期:2018年3月3日 – 4月7日
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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