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安田悠「Attaining Shape」

2018年8月25日 - 2018年11月10日
Diaphanous, 2018

 ユカ・ツルノ・ギャラリーは安田悠の個展「Attaining Shape」を2018年8︎月25日(土)から10月6日(土)まで開催いたします。ギャラリーでの約4年ぶりとなる本個展では、移ろいゆく事象や瞬間についての思索を深めることによってより精錬された新作のペインティングを発表します。

 安田は独特のタッチと何層もの色彩のレイヤーが滲みあう流動的な絵画世界を創り出してきています。初期作品で見られた日常の景観や具象的に描かれた風景は徐々に抽象度を増していき、陽炎のような色彩の集合体でありながら何処ともいえない風景が広がる安田特有のスタイルが確立されてきました。作家活動開始当初から心象風景や幻想的と形容されてきたその世界は、ある特定のイメージを描き出すというよりは、絵具が生み出していく偶然性と必然性に独自の感性で向き合うことで現れてきています。とくに近年は、色彩や色の形態を探求する形で制作が始まり、その結果として作品としてなりえる瞬間を探るように制作が進められてきています。


   ただ、移ろいゆく空を
   ただ、水の流れや波紋のゆくさきを
   ただ、燃える炎のゆらめきを
   ただ、光の瞬きを
   ただ、漂うなにかを
   ただ、目をとじて内側にあるなにかを
   ただ、色褪せそうな過去のなにかを
   ただ、なにかしらの美しいものを
   ただ、なにかしらの醜いものを眺める

 本展にあたり、「どんなに世の中が変化しても 移ろい変化する時間の流れを感じさせてくれるものに人は潜在的に身をよせ、ゆだねたくなる生き物だと思う」と安田は語っています。タイトル「Attaining Shape」は表現や形が獲得されていく過程を意味しますが、作家が「かたちをなすまえ、なしたあと」と述べるように、何かになりえる前の状態や変化の過程、そして変化した後の状態を含む、何かが変容していく流れそのものも指しています。

 それは、とどまることなく流れゆく時空的な動きの瞬間と、その瞬間に揺れ動かされる様々な心の様相を引き起こすという、現在に至る作家の絵画上の関心と関わっています。なかでも、初期作品から見られる弛むことない水の動きを連想させる表象は、安田の独特のタッチや色彩に重なるように、時間の流れや空間の表現としてより重要性を増してきています。本展では、一瞬一瞬に起こる事象は移ろいゆく流れのなか存在し、それを捉えようとした瞬間に再びその流れのなかに投げ出されていくという、安田の知覚的な探求から生まれた作品群を発表します。

作家プロフィール

1982年、香川県生まれ。2007年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。これまでの展示に「VOCA展 2008」(上野の森美術館、東京、2008年)、「Art in an Office」(豊田市美術館、愛知、2011年)、「横浜美術館コレクション 光をめぐる表現」(横浜美術館、横浜、2012年)など。近年は、虎ノ門ヒルズレジデンスのパブリックワークを手がけるなど活動の幅を広げてきている。

開催概要

安田悠「Attaining Shape」
会期:2018年8月25日 – 10月6日 * 11月10日まで延長いたします。
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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