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mamoru「散華 上段 – Upper Sange 2017」

2017年9月2日 - 2017年10月7日
Still from 投げ出された身体 / becomings, 2017

 ユカ・ツルノ・ギャラリーは、mamoruの個展『散華上段 – Upper Sange 2017』を9月2日(土)から10月7日(土)まで開催いたします。本展では、近年取り組んでいるシリーズ『あり得た(る)かもしれないその歴史を聴き取ろうとし続けるある種の長い旅路、特に日本人やオランダ人その他もろもろに関して』の最新作であるサウンドインスタレーションを発表します。

 mamoruは、身近な物や行為から生まれる微かな音や、ある場所にまつわる歴史上の人物や出来事をとりあげ、資料やインタビュー、フィールドレコーディング、テキストなどを”想像のためのスコア”として提示することで、「聴くこと」から知りうる過去、現在、未来/架空のオルタナティブな世界観を表現してきました。

 本シリーズは、17世紀にオランダで出版された、西洋社会に初めて「日本」の人々や暮らし、文化、歴史を体系的に紹介したある地理本から着想されています。この地理本には、当時の宣教師や貿易商らの手紙や報告書などのテキストをもとにした想像上の「日本」が多数の挿絵とともに描かれています。そのイメージは誤読をはらむものでしたが、後にヨーロッパで広く読まれ多くの人々に「リアル」なものとして受け取られていました。本シリーズでは、そのようなステレオタイプ化したイメージや創作物をもとに、オランダのハーグ王立芸術アカデミー/王立音楽院・大学院での研究に始まり、日本国内とインドネシアでのリサーチから得た作家自身の想像を接続しながら、「あり得た(る)かもしれない」複数の世界と現在をつなぐ試みが行われています。

 第一章〜第四章(2016年発表)はレクチャー・パフォーマンスと映像作品として展開しましたが、本展で発表する第五章《散華上段》は地理本上の「日本の音楽」が奏でられる場面にインスピレーションを受け、より音楽的な要素にも焦点があてられています。花または花形の紙片を散布し仏を供養し場を清める仏教の経である散華上段をトランスロック風にアレンジしたものを作品の中心に置き、前章から引き続き日常的な身体動作としてのお辞儀の一種である拝礼をモチーフに、過去から現在へと反響し続けている「変身・変態」をサイケデリックなサウンドインスタレーションとして展開します。

 また、人体構造の変容を主題にした第四章《伸ばした手》を、視覚や触覚の転換可能性を扱ったモーリス・メルロ=ポンティーの思想と結びつけた新たなインスタレーションも同時発表します。展覧会の最終日である10月7日(土)にはクロージング・パーティーとしてトークとライブ・パフォーマンスも予定されています。この機会にぜひご高覧ください。

作家プロフィール

1977年大阪生まれ。2001年ニューヨーク市立大学音楽学部卒業、2016年ハーグ王立芸術アカデミー/王立音楽院・大学院マスター・アーティステック・リサーチ修了。平成27年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。主な展示に「再考現学 / Re-Modernologio」(2011年 青森国際芸術センター)、「虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちの遊飛行 」(2012年 府中市美術館)、「MEDIA ART/KITCHEN, SENSORIUM」 (2013年 アヤラ美術館、マニラ)、「他人の時間」(2015年 東京都現代美術館、2016年Queensland Art Gallery、ブリスベン)、レクチャー・パフォーマンスに「他人の時間」(2015年 国立国際美術館)など。

開催概要

mamoru「散華 上段 – Upper Sange 2017」
会期:2017年9月2日 – 10月7日
* アーティストトーク & ライブパフォーマンス:10月7日(土)18:00 –
 ゲスト:浄土宗瑞林院住職 河合真人上人
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

協力:小松音響研究所

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