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[ニュース]志村信裕 Pit Pony Project

2019年6月29日

Pit Pony Project – 作品制作応援プロジェクト –

志村信裕は近年、日本の牛をテーマにした「見島牛」(2015)やフランスの羊に焦点をあてた「Nostalgia, Amnesia」(2019)など、フィールドワークを通して土地や地域についての歴史に社会学的な視点でアプローチしながら、フィルムやドキュメンタリーの手法を取り入れて、異なる歴史の記述 —生活史、文化史、政治史など— を横断する新たな表現方法の探求を試みています。

志村は現在、次回作のテーマを 「馬」とし、構成からリサーチ、取材、撮影、編集まで約2年かけ、2021年完成を目指しています。

このたび、その制作費を支援する「Pit Pony Project」が立ち上げられました。ご協力くださる方々には支援金額に応じて、オリジナルドローイング作品や新作を作家と共にご鑑賞いただけるスペシャル上映会が用意されているほか、作家本人より制作日誌がメール配信(不定期)される予定です。

Pit Pony Project: https://pitponyproject.stores.jp
協力:E&K Associates

=== 志村信裕よりメッセージ ===
「Pit pony」

羊の次は馬にまつわる作品をつくろうと以前から決めていました。

偶然、ピットポニーという言葉を知ったのが最初のきっかけです。ピットポニーとはつまり炭坑馬のこと。炭坑馬は、産業革命の起こる18世紀から石炭産業が終焉を迎える20世紀までの間、英国を中心にヨーロッパ、アメリカ、そして日本の炭坑にも存在していました。坑内で働く使役動物がいたことさえ全く知らなかったので、その歴史は衝撃的でした。

しかも、炭坑で働く女性や子供たちの代わりとして馬が置き換えられた事実や、坑内で生まれ、太陽を浴びることなく地下の坑道で一生を終える馬までいたと知り、人間と動物の関係について再考するには、これ以上ない題材だと考えました。そもそも僕は炭坑についても詳しく知らないまま生きてきたので、かつての生活を支えた石炭というエネルギーに初めて向き合う時が来たようです。

これまで牛と羊をモチーフに、畜力という切り口で動物を主題にしてきましたが、関心の矛先は人類にとってのエネルギーの推移そのものにありました。ある意味では、馬と炭坑を次の作品の主題に据えるのは自然な流れだったのかもしれません。もちろんエネルギーだけでなく、「労働」という概念も深く関わってくるのは間違いないでしょう。

暗闇の中、ピットポニーは一体何を背負ってきたのか。21世紀となった現在から炭坑馬の歴史に光をあてることで、作者である僕を一体どこに連れていってくれるのだろうか。

まずはイングランド北部、そして茨城県の日立には調査に行かなければいけないと考えています。近年のライフワークとなっている動物シリーズは今作で3作目となりますが、やはり今回も一人の力では絶対に実現不可能なほどスケールの大きな題材となってしまいました。

このプロジェクトを実現させるためには皆様のご支援が不可欠です。これから始まる新たな作品制作のご協力をお願いいたします。

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