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松川朋奈「Blind」

2017年5月20日 - 2017年6月17日
私にとっては、それがプライドみたいなものなのよ, 2017

 ユカ・ツルノ・ギャラリーでは、松川朋奈の個展「Blind」を2017年5月20日(土)から6月17日(土)まで開催いたします。本展では、女性たちへのインタビューをもとに構成した新作の絵画とともに、鏡を使った新たなインスタレーション作品を発表します。

 松川は一貫して、傷ついたハイヒールや脱ぎ捨てられた服、身体の傷など、日常生活に残された痕跡に表れる人間性や人間の内面に関心を寄せてきています。松川に特徴的な写実的な絵画は、一般的にあまりよくない印象を持つ傷ともいえる痕跡を、フラットで美しい表面上に再構成することで別の価値観への転換を試みてきました。近年は、松川と同世代の女性たちへのインタビューを重ねながら、その中で印象に残ったフレーズを作品の主題およびタイトルとし、絵画にとどまらず、鏡を使ったインスタレーションなど新たな表現方法にも挑戦しています。

 本展覧会は、六本木クロッシング(森美術館、2016年)で発表した作品群に引き続き、都会に住む女性へのインタビューがもとになっています。下着の跡や化粧くずれ、コーヒーの染みなどの形跡に象徴されるように、彼女たちは一見すると孤独で失望の人生の中にいると認識されがちです。しかし、インタビューを通して松川が感じたことは、その人生を生きる一人一人が、目の前の人生に直面しながらも、生きる意味を探求し人生への希望を持ち続けていることでした。「盲目」という意味であるタイトル「Blind」は、彼女たちの「内側」と社会からの視線である「外側」に大きな隔たりがあり、お互いに盲目的に存在しているという意味が込められています。

 また、個人においても「内側」と「外側」の視線があります。描かれた人物たちの外見ではなく内面を捉えようとしてきた松川の絵画と同様に、新たなシリーズとして発展してきている鏡のインスタレーションは、その鏡に映る鑑賞者自身もその視線が交錯する空間へと投げ込まれます。本展において松川は、「内側」と「外側」の境界を巡って、その盲目さを受け入れながらも、内側と外側を行き来し、あるいは反転するような出会いを生み出すことを試みます。

作家プロフィール

1987年愛知県生まれ。2011年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。近年の展示に「六本木クロッシング 2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京)、「シェルアーティストセレクション」(2013年、国立新美術館、東京)、「Artist Meets 倉敷vol.12 松川朋奈」(2016年、大原美術館、岡山)など。ホルベインスカラシップ(2010年)、福沢一郎記念賞(2010年)を受賞。作品は大原美術館、森美術館、高橋コレクションなどに収蔵されている。

開催概要

松川朋奈「Blind」
会期:2017年5月20日 – 6月17日
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
オープニングレセプション: 5月20日(土)18:00-20:00
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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