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キー・ドナキー「There might be someone else inside you, said the Mirror, beside you.」

2019年10月19日 - 2019年12月21日
The Adored, 2019

 ユカ・ツルノ・ギャラリーは、イギリスのアーティスト、キー・ドナキーの個展「There might be someone else inside you, said the Mirror, beside you.」を2019年10月19日(土)から12月7日(土)まで開催いたします。日本での初個展となる本展では、20世紀の芸術や文化に影響を及ぼしたラディカルな女性たちのイメージをもとに、現実と架空の時空間が折り重なるような新作絵画を発表します。

 ドナキーの絵画はグレーやブルー、グリーン調の淡くて控えめな色彩と絵画的に処理され霞みがかったソフトフォーカスを特徴とします。多くの場合、歴史的なカウンターカルチャーへの一貫した興味から、歴史上に実在していたり文学のなかで架空の存在として登場したりした女性など史実と想像が混じり合った個別の人物像が描かれています。作家にとってこれらの人物像は、現実空間と物語や想像力のなかで繰り広げられる架空のイメージとが溶け込んだ瞬間を生きる者であり、それを再想像という形で現在へと呼び起こしています。

 アメリカの詩人ジェームス・ブロートンの詩「あなたのなかに誰か他の人がいるかもしれない / その鏡は言った / あなたのそばで」が本展のタイトルになっているように、ドナキーの作品は、人物表象のなかに夢想のような想像力が溶け合い“何か他の”局面をほのめかすような矛盾を内包しています。幽霊のように詩的で抽象的な空間に浮かび上がる女性像は、詩人のアイリス・ツリー、詩人・パフォーマーのエミー・ヘニングス、写真家のリー・ミラーなど20世紀の芸術分野において勇敢にも慣習にとらわれない役割を演じてきたアーティストや作家、詩人、俳優、アクティビストたちからインスピレーションを受けています。そのような歴史上の人物を思い起こさせると同時に、彼女たちは気を散らしながら瞑想や夢想にふけているように描かれ、無意識的なイメージが現実空間へと溶け込む瞬間として絵画上に再構築されています。その何層にも重ねられた詩的な物語たちは、異なる時空間が混ざり合い過去から現在へとイメージを呼び起こしながら、曖昧で秘めた時間で満たされています。
 
 
作家プロフィール

1970年グラスゴー生まれ。1997年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程(M.A. in Painting)修了。現在ロンドンを拠点に活動。最近の主な個展に「Like this. Before. Like Waves」(Morena di Luna、ホヴ、2018年)、「Silent as Glass」(Maureen Paley、ロンドン、2018年)、「Under the clouds of her eyelids」(Le Plateau FRAC ile-de-France、パリ、2017年)、「Dearest…」(The Fireplace Project、イースト・ハンプトン、2015年)。グループ展に「Orlando at the present time」(The Wolfson Gallery、イーストサセックス、2018年)、「The Critic as Artist」(Reading International、リーディング、2017年)。作品はFRAC(フランス)やブリティッシュ・カウンシル(イギリス)など世界各地の美術館にて収蔵されている。
 
 
開催概要

キー・ドナキー「There might be someone else inside you,
        said the Mirror,
       beside you.」
会期:2019年10月19日 – 12月7日 * 12月21日まで会期延長。
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝

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